平成18年度全国理科教育大会宮城大会参加報告

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今年度の全国理科教育大会は、8月2〜5日に宮城県仙台国際センターにて開催されました。倉澤(化学)と岩下(化学)の2名で参加してきました。全国の先生の中には、日頃の授業をよく工夫して行っている方もいて大変参考になりました。

8月3日(木) 開会式、表彰式 総会  

表 彰 式;小俣 民男 氏 (前・山梨県立都留高等学校校長)  平成18年度教育教育功労賞受賞
記念講演;鈴木 厚人 氏 (高エネルギー加速器研究機構長)  「ニュートリノが解き明かす素粒子・地球・宇宙」
研究協議;第1〜第6分科会(物化生地他)
  • 『興味関心を高めるための理科教育』
  • 『小中学校や大学との連携を考えた理科教育』
  • 『情報機器の活用と理科教育』
  • 『次期教育課程への提言』

8月4日(金) 研究発表

全体会 研究発表 科学の広場 研究協議 研究発表(化学)ジェリーキャンドル(炭化水素化合物)を使用したアルカリ金属の実験
研究発表報告(1)倉澤勝仁(ひばりが丘高等学校)

 8月2〜4日に仙台で行なわれた全国理科教育大会に参加させていただきましたが、そこでは多くの発表の機会に触れることができ、大変刺激を受けることができました。

 3日の研究協議では、Webコンテンツを授業に活用する実践例として、インターネット上のフリーソフトウェアを使って生徒にpH曲線を描かせて、酸と塩基の強弱の組み合わせと指示薬の選択について視聴覚的に理解させる試みや、「熱い」「痛い」「おいしい」などと体で感じられる実験「五感で感じる化学実験」や、必要最低限の理科の知識を理解できるようなプリント「チャレンジ21」の作成、総合的な学習の時間の一部に、(1)紫キャベツの色素(2)手作り鏡(3)炭電池の3テーマについて行なわれた年間3回の化学実験の実践例が紹介されました。

 また、研究協議の議論の中で、ペットボトルの中にドライアイスを入れて液体二酸化炭素を見せる実験をしたときに破裂したという事例が上がり、実験の安全性について改めて考えさせられました。

 4日の研究発表では、電源として9Vの角型乾電池や3Vの電池ホルダー、放電装置として発光ダイオードを使用するなど、配線コードがいらない「配線コード不要の電気分解・鉛蓄電池」や、実験に入る前にHazards Drawing(危険図)を用いた授業を行なうことで、生徒たちに実験における「危険」について認識させて、実験に生かすことができるかを考察した、「実験における危険行為の認識」や、生徒自身が没食子酸や硫酸鉄(U)などを使用してブルーブラックインクやインク消しなどを作成することにより、酸化還元反応や陽イオンの学習に興味を持たせることを目的とした「消えてしまったインクの話」などの発表を聞かせていただくことが出来ました。

 多くの発表や、全国の先生方の意見をお聞きした中で、理科の授業における実験の大切さや、「ヒヤリハット」という言葉があるように実験における危機管理の重要さについて考えさせられました。旭山動物園が花開いたのは従業員がお客さんの立場になって知恵を絞ってきたその熱意と工夫と聞きますが、教員も生徒の立場になって、生徒の興味や関心を喚起させるように考えて授業を展開する必要があると思いました。

研究発表報告(2)岩下一浩(市川高等学校)

 今回、杜の都仙台において開催された全国大会に参加することができ非常に得ることが多かったのでこの場をお借りして報告します。

 第1に多くの研究発表を聞くにつけ、全国には日頃の授業を常に工夫し努力されている方がいること。第2に理科教育に対する考え方を確認できたこと。年度が替わり、学校が変われば教師も教え方を変え、工夫こらすことが大切であることを感じた。「本物」を魅せる化学の授業や「化学が好きになる実験とは」の中で、実践発表者の熱意が伝わってくる気がしました。自信の研鑽を深め、また今後の理科教育に役立つことができればと思います。

〜〜研究協議〜〜

 化学の研究発表は3会場で行われ、延べ35の実践発表があった。私は主に第一と第三会場の発表会に参加した。いくつかの事例をここに掲載します。

第一会場

@光触媒効果をデジタルカメラでみる〜
 近年、光触媒(TiO2)を利用した商品が多く出回っている。光が当たるとセルフクリーニングや超撥水などの性質が現れる現象だが、これを酸化還元試薬であるメチレンブルー溶液を用いて色の変化としてとらえた。結果は一定時間ごとに溶液の色をデジタルカメラに収めた。メチレンブルーは酸化型と還元型があり、酸化型で青色、還元型で無色を示す。これらの型変化は可逆的である。光触媒(TiO2)は、最近外壁材、曇らないガラスなどの商品として出ている。高校の授業に活用するためにはまだまだ工夫の必要性がある。
C日常生活に関連した化学の指導−鏡つくりを通じて〜
 実験内容は、グルコースを還元剤として用いた銀鏡反応によりスライドガラスを鏡にするものである。一人一枚の「マイ鏡」をつくらせることにより、生徒に化学反応を身近に感じてもらおうという試みである。発表者は日常生活と化学との関連について明確に意識づけを行う。生徒にとって高校化学は「記憶力」「計算力」「思考」のトライヤスロンで、覚えることや細かい計算が多く、心に余裕が持てない。教師側にも「いかに早く教科書を終わらせるか」で、生徒実験は「検証実験」で精一杯の状態で余裕がない。そんな中で日常生活を支えている物質を学ぶのが化学であることを認識させることをモットーとしている。生徒に化学と日常生活の接点を意識させ、「キツイけれど化学は面白い」と思わせることを意識している点に感心する。

第三会場

@ダイヤモンドの単位格子〜
 ダイヤモンドの結晶は中心と四つの頂点に炭素原子を持つ正四面体の積み重ねとして示されることが多く、この正四面体が単位格子であると誤解されやすい。実際の単位格子は、この正四面体4個で構成されるものである。発表者は、A5版の大きさに切りそろえた広告のチラシを使って5分ほどで折れる正四面体の折り紙を完成させて、模型とした。(実際にはそう簡単に折れるものではないが。)
Aジェリーキャンドルを使ったアルカリ金属やハロゲンなどの実験〜
 金属ナトリウムをそこし硬めのジェリーキャンドル(成分は流動パラフィン、イタリア製)中で行うものである。空気中、水溶液中で危険なナトリウムであるが、この特別な流動パラフィン中では安全に扱うことができる。カリウムとの合金の作成も可能である。ハロゲンへの応用も試みている。ただし、生徒が行う実験としては危険物取り扱い上、注意を要する。