中毒事故多発
       塩素系に御用心
           …洗剤混合による塩素中毒の危険性を追って

 1月下旬,カビ取り剤とタイルクリーナーを使って浴室を掃除していた主婦が,これらの洗浄剤から発生した塩素ガスによる中ガスは,どのような仕組みで発生したのだろうか。また,このような事故を防ぐ手立てはないのだろうか。身近にある危険にスポットを当ててみた。
 
 近くのスーパーマーケットの洗剤売り場をのぞいてみると,実に様々な用途や種類の洗剤や洗浄剤が並んでいることに驚かされる。これらのうちで塩素ガスが発生する危険性のあるのは,容器の表面に「塩素系」と表示されているものと「酸性」と表示されている物とを混ぜ合せた場合だ。「塩素系」と呼ばれている洗浄剤は,ハイターなどの衣類の漂白剤,キッチンハイターなどの台所用の漂白殺菌剤,トイレルックなどのトイレやパイプの洗浄剤,カビキラーなどのカビ落とし,ピューラックスなどの殺菌剤などで,これらの洗浄剤はいずれも次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を含んでいる。この次亜塩素酸ナトリウムは非常に強い酸化力を持つため,洗剤などではなかなか落とすことの出来ない繊維のシミや容器のシブ,さらにカビの色の原因になっているメラニン色素などを酸化分解して脱色する働きがある。さらに空気中の二酸化炭素が溶け込んでいるため,弱酸性になっている普通の水とも反応して殺菌力の強い塩素を穏やかに発生する性質を持つため,殺菌剤としても使われるが,漂白剤として使用する場合は塩素の発生をふぜぐために1%程度の水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを加えて溶液をアルカリ性にする工夫がしてある。 これに対して「酸性」の洗浄剤にはサンポールなどのトイレ・タイル用洗浄剤があり,これらは10%程度とかなり高濃度の塩酸(HCl)の水溶液で出来ている。塩酸はトイレの汚れの主成分である尿酸カルシウムや鉄分を分解してしまう働きを持っている。
 
 界面活性剤だけからなる普通の洗剤より強い脱色力を持っている「塩素系」と「酸性」の洗浄剤を混合すれば,調味料の場合のように,さらに強力な脱色力を発揮すると勘違いして事故に至ったらしいが,実際にこの2つのタイプの洗浄剤を混合すると,主成分の次亜塩素酸ナトリウムと塩酸が(NaClO+HCl→HClO+NaCl)と反応して,次亜塩素酸が生成し,この次亜塩素酸がさらに塩酸と(HClO+HCl→H2 O+Cl2 ↑)のように反応し,多量の塩素ガスが発生してしまう。塩素ガスは第一次世界大戦中の1915年 4月西部戦線のイープル付近でドイツ軍が初めて実戦に使った毒ガスとしても有名だが,少量吸い込んでもめまいや吐き気がし,多量に吸い込むと肺水腫(はいすいしゅ)や肺炎を起こし,ひどい場合には脈搏が低下したり呼吸困難に陥って死亡してしまうなど,大変危険な性質を持っている。行政ではこのような事故が多発するため,メーカーに対して危険性のあることをもっとハッキリ表示するよう指導していく方針ようだが,同じメ−カ−の同じ名前のトイレ洗浄剤に,塩酸を含むものと含まないものがあるなど,改善すべき点は多い。やはり,私達一人一人が正しい商品知識を身につけ,成分などに関心をもつ習慣を確立しないかぎりこのような事故は,洗剤の場合だけでなく今後も起こる危険性をはらんでいる。
酸性洗剤
サンポール(トイレ、タイル洗浄用:塩酸 9.5%、界面活性剤)
強力トイレマジックリン(トイレ、タイル洗浄用:塩酸 9.5%)
シャット (消臭液)
塩素系洗剤
キッチンハイター(液体)(漂白剤:次亜塩素酸ナトリウム、界面活性剤)
ドメスト  (トイレ、排水パイプ用洗剤:水酸化ナトリウム 1.0%、次亜塩素酸ナトリウム、界面活性剤)
トイレルック(トイレ、排水パイプ用洗剤:水酸化ナトリウム 4%、次亜塩素酸ナトリウム、界面活性剤)
カビキラー (カビ落とし:水酸化ナトリウム 1.0%、界面活性剤、次亜塩素酸ナトリウム)
キッチンカビキラー (カビ落とし:水酸化カリウム 1.0%、界面活性剤、次亜塩素酸ナトリウム)
ピューラックス(殺菌剤:次亜塩素酸ナトリウム 6%)
酸性でも塩素系でもないもの
キッチンハイター (粉末酸素系:過炭酸ナトリウム、界面活性剤、炭酸塩)
ハイドロハイター (還元系:二酸化チオ尿素、炭酸塩)
市販されている主な酸性、塩素系洗剤…
オオイヌノフグリ (大犬の錘) Veronica persica  [ごまのはぐさ科]
 学校周辺に点在する田んぼの畦の陽だまりでコバルトブルーの小さな花を緑の葉の上にたくさんつけたこの草を見つけた。オオイヌノフグリは明治時代にヨーロッパからやって来た帰化植物,古くから各地に自生していた在来種のイヌノフグリを駆逐して今やイヌノフグリと言えば,この花をさすまでになっている。イヌノフグリと言うのは,花の終わった後に付く果実が犬のフグリ(陰嚢)に似ているところから付けられたもので,小さな花を星に見立てたホシノヒトミ(星の瞳)と言う別名もある。同じ花の名前なのに,余りに大きな発想の落差に驚かされてしまう。

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