甲府盆地の地下水事情を追って…その3 
      飲み水は安全だろうか
                  …有機洗浄剤による地下水汚染を調べる

 半導体の基板になるシリコンウェハーやさまざまな金属部品などの洗浄に,また,ドライクリーニングでも幅広く使われているトリクロロエチレン等の有機塩素系洗浄剤による地下水汚染が問題になっている。このような事実は,今から10年程前に,先端産業のメッカ,カルォルニア州シリコンバレ−にあるフェアチィルド社の半導体工場の地下タンクから洩れ出した有機塩素系の洗浄剤によって周辺の地下水が汚染され,多くの奇形児が生まれたことから明らかになった。日本でも一昨年ごろから,半導体製造工場が集中立地してシリコンアイランドとも呼ばれている九州の熊本,宮崎,さらには千葉等で汚染による生物への影響が表面化し,各地で飲料水の分析がなされた結果,非常に多くの地域で地下水が有機塩素系の洗浄剤により汚染されている事実が明らかになってきた。クリスタルバレー構想を掲げ,釜無川流域に半導体関連の工場を集中的に立地させようとしている県の積極的な企業誘致政策に乗り,良質で豊富な地下水を求めて,有機塩素系洗浄剤を多量に使用する工場が甲府盆地にも数多く進出している。甲府盆地では,他の地域で深刻な問題になっている地下水汚染の事実は無いのだろうか? 私達の飲み水は安全なのだろうか? …有機塩素系洗浄剤による地下水汚染の可能性を検討してみた。

 油などの洗浄剤として利用されている有機塩素系の物質としては,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,トリクロロエタン,クロロフルオロハイドロカーボン類(フロン)などが使用量も多く有名だが,その他にも数多くの種類がある。これらは,いずれも天然では存在しない人工物質で,有機物質を溶かす力が極めて強と言う特徴を持っている。さらに,フロン以外の有機塩素系の物質のほとんどが,中枢神経障害などの急性毒性を持つだけでなく,許容量以下の低い濃度でも,発ガン性など,さまざまな健康被害を与えることが知られている。また,有機塩素系物質は極めて安定で自然界ではほとんど分解されない。したがって,これらの物質が一旦環境中に入り込むと,生物の食物連鎖に乗って次第に濃縮され,最終消費者であるヒトに重大な健康被害をもたらすことになる。さらに,一旦地下に浸透すると,地下水の極めて緩やかな流れに乗って移動し,広範囲に拡がり,長い期間滞留して深刻な地下水汚染を引き起こすことになる。

 県の環境公害課に問い合わせてみたら,山梨県内でのこれら有機塩素系洗浄剤の使用量、使用事業所などの具体的な情報は教えられないが,使用している事業所数,使用量ともかなり多く,しかも年々増加しているとのことだった。しかし,使用済の有機塩素系洗浄剤がどの程度回収され,また最終的にどのように処分されているのかなどについては,必ずしも明確になっていないようだった。したがって,保管中の物や,使用済の物が処分される過程で地下に浸透している可能性は十分あると思う。
 水道法では,水道水中のトリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,トリクロロエタンの量を100ppb(1ppbは10億分の1のことなので,100ppbは1000万分の1になる)以下に定めており,定期的に分析して確認することになっている。そこで,甲府市水道局に問い合わせたところ,盆地の地下水を水源にしている昭和水源では,これらの物質の濃度は,いずれも0.001ppm(1ppmは100万分の1のことなので,0.001ppmは10億分の1になる) 未満で,問題はないとのことだった。有機塩素系物質の分析には,ECDと言う特殊な検出器を備えた分析器が必要で,分析も難しいため,甲府市以外の市町村は,県薬剤師会に委託して分析している。そこで,薬剤師会にも問い合わせてみたが,結果は教えてもらえなかった。僕の家は,浅い井戸の自家水源を利用していたため,比較的汚染された地下水を汲み上げ易く,非常に不安だったので,2年前から,飲み水を甲府市の水道に変えてしまった。僕の心配が杞憂であることを念じつつも,個人の井戸を含めて,甲府盆地の地下汚染の実態をきちんと把握する必要性を訴えたい。
〈主な有機塩素系洗浄剤と化学構造〉…

 トリクロロエチレン  テトラクロロエチレン  トリクロロメタン
  ClCH=CCl2      Cl2 C=CCl2       CHCl3

 テトラクロロメタン  1、2ジクロロエタン
   CCl4         CH2 Cl=CH2 Cl 

 4、4 ジアミノ-3、3ジクロロジフェニルメタン
 CH2 Cl=CH2 Cl

 4、4 ジアミノ-3、3ジクロロジフェニルメタン
      Cl        Cl
 H2 N C6H3 CH2  C6H3 NH2
オヘビイチゴ (雄蛇苺)  Potentilla Wallichiana [ばら科]
 ゲンゲの花が咲き誇っている家の近くの田の畔で,小さな黄色い花をつけたこの草の大きな株を見つけた。
 初めて見たときには山でみかけたキジムシロがこんなところにも咲いているのかなどと思ったが,近づいてよく見ると,全体にかなり大形で根から直接出ている(根生葉)は5枚の小葉を,茎についている葉は3枚の小葉をつけている特徴から,オヘビイチゴだと分かった。

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