芦川村黒岳山麓
       スズランの花満開
                       …山里にスズランの花を訪ねて
 梅雨が近づいたこの時期になると,小さくて可憐な白いすずらんの花が話題にのぼる。その清楚で控え目に咲く姿から「純愛」「純潔」「幸福がかえる」などの花言葉を持っている。イギリスやフランスでは5月1日はすずらんの日で,この日にすずらんの花束を送ると,送られた人に幸福が訪れるとされ,結婚式でも花嫁にはこの花が贈られている。ヨーロッパに咲くすずらんは,ドイツスズランと言う種類で,葉も花も比較的大きく,香りも強い。これに対して,日本の在来種のすずらんは「すずらんや葉蔭に咲いて隠れがち」(村上鬼城)などの句によまれ「君影草:きみかげそう」の別名でも呼ばれるように,葉も花も小さく,花は葉の裏に隠れてひっそりと咲く。僕の家の庭や近くの公園に植えられている栽培種のすずらんはドイツスズランで,葉の裏に隠れてひっそりと咲いている姿を見ることは出来ない。
 
 そこで,可憐な白い花を葉影にひっそりとつけた在来種のすずらんに会いに芦川村の「黒岳すずらん畑」に行ってみた。甲府の市街から甲府−精進湖線にのり,左右口トンネルをくぐって御坂山地を越すと,緑深い芦川の谷に出る。道ぞいに開けた古関の部落で精進湖線と別れ,さらに芦川に沿って延びる細い道を10q余り遡ると、芦川の最上流に位置する上芦川部落に着く。部落のはずれ辺りから,本州製紙社有林のカラマツ林の中に続く舗装道路をさらに黒岳の方に向かって行くと,道ぞいの林の中に,目指す「黒岳すずらん畑」が広がっている。まばらな白樺林の下に数ヘクタールにもわたって広がっているこのすずらんの自生地は,咲いているすずらんとともに山梨県の自然記念物に指定されいる。しかし,ここを訪れる人の中には,辺りに人影がないことを確かめて何株も掘り起こして持ち帰ったり,すずらん祭りなどと称して,満開のすずらんをだしにして酒を飲んで騒いだり,カラオケ大会を催す神経は,やや理解に苦しむ。ひっそりと咲くすずらんの花を見ながら,もう少し真に自然と付き合う態度を養って欲しいと言う気持ちを強くした

         芦川「スズラン畑」の位置

  ニホンスズラン
クサボケ (草木瓜)  Chaenomeles japonica [ばら科]
 すずらん畑に続いている林道の両側の茂みの中に3pぐらいの鮮やかな朱色の花をたくさんつけたこの小灌木を何本もみつけた。
 クサボケは高さ30〜60p,日本特産の落葉小低木で,秋にアンズ大の果樹をつける。庭木などとして良く植えられている中国産のボケに似ているが,全体に小さいのでクサボケと呼ばれている。

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