盆地が西限
  芝棟(しばむね)を知っていますか
                      …カヤ葺き屋根の秘密を探  

 君達の中には,夏休み中, 八ヶ岳寮の林間学習会に参加した人もたくさんいることだろう。ところで,八ヶ岳寮の裏に続いている林の中に,草葺き屋根の棟(グシ)に緑濃いイワヒバ(イワマツ)をのせた庵があるのに気がついただろうか。このイワヒバ,屋根の上に勝手に生えてきたものなのだろうか。時間をみつけて,八ヶ岳寮のある長坂町小荒間周辺で,草葺き屋根が残っている民家を何軒か訪ねてみた。すると,この辺りにある草葺き屋根の約半分は,庵と同じように屋根の棟にイワヒバなどの植物をのせていた。
 実は草葺き屋根の棟にイワヒバ,イチハツなど植物を生やすのは,これらの植物に根を張らせて棟を固めるためで,このような棟は,芝棟,草棟,クレグシなどと呼ばれ,草葺き屋根の棟を風雨から守る方法して,古くから広く行われていた。身延の山奥で生まれ育った僕の家も屋根はワラ葺きだったし,周辺の民家もほとんどワラ葺き屋根だった。しかし,僕の生まれ育った身延では,このような芝棟は見た記憶がなく,棟は竹やトタンや瓦で覆われていた。

 芝棟の調査、研究に取り組んでいる元千葉大学教授の亘理俊次先生によると,草葺き屋根の芝棟は,かっては全国各地に広く見られたが,寿命が短く,短期間で葺き替えを繰り返さなければならないなどののために急速に衰退し,現在では長野,山梨,静岡と関東,東北,北海道の一部に見られるだけになってしまったとのこと。また,先生が調査した時点では,山梨県内には550棟が確認でき,甲府盆地から富士川流域が芝棟の西限であることなどが報告されていた。なるほど身延辺りは,芝棟が分布する境界地帯だったのか,と納得する一方,現在県内のどの辺りに芝棟が残っているのか興味を持ち昨年から調べてみた。甲府周辺では,荒川上流の甲府市黒平地区で2、3軒見つけたが,いずれも現在は廃屋になっていた。比較的数多く見られたのは,峽北地域だったが,かなり老朽化の進んだ屋根が多く,今後どの程度の年月芝棟が残っているか心配になる。草葺き屋根の上の植物園とも言える芝棟こそ,日本の農家の原風景だと思う。維持,管理は確かに大変なのだが、風土にねざした風景が次々に消えていく現在,是非後世に伝えたい文化遺産の1つだと思う。
カヤ葺き屋根が漏水しないのなぜだろう
 ワラやカヤで葺いた日本古来の草葺き屋根,夏は涼しく,冬は暖かいなど,日本の風土に合った素晴らしい屋根なのだが,寿命が短く,葺き替えるのに労力が必要なこともあって,最近ではあまり見かけない。この草葺き屋根,かなり厚さがあるものの,あんなに隙間だらけの材料で葺いて,どうして雨水が染み込んでこないのだろう。ストローやススキの茎を使って実験すると,簡単に秘密を調べられる。
  茎に付いた水滴は表面張力や茎の材料の吸着作用のせいで,茎に沿って流れたり,茎と茎の隙間が水路になって流れてしまい,下には落ちてこない。この現象は茎の材料が吸着力の強いワラやカヤなどの場合には特に著しく,10度程度の傾斜でも下には流れない。

ガガイモ (蘿摩)  Metaplexis japonica [かがいも科]
グランド東側のフェンスに,鮮やかな緑色をした葉をつけたこの草がたくさんからみついていた。葉のわきから長い花柄(かへい)を出して,総状花序(そうじょうかじょ)に淡紫色の小さな花をつている。ガガイモは古くはゴガ,白い絹糸のような長い毛が密生した実はゴガミと呼ばれていたらしい。葉を折ると,切り口から白い乳液を出す。

トップページに戻る甲府西高編のトップページに戻るこのページの先頭に戻る