みあげてごらん
       富士山は左右対称?
                       …富士山・噴火の謎を追って

 御坂山地越しに雪を戴いた美しい姿を見せてくれる富士山。コニーデと呼ばれる山容は、盆地の北にそびえる同じ火山の八ヶ岳に比べると左右対称でバランスが取れている。しかし,一見左右対称に見える富士山も,盆地から注意して眺めてみると,向かって右側の斜面は左側にくらべてかなり急で,必ずしも左右対称とは言えない。甲府盆地の反対側にあたる伊豆半島から富士山を見ると,向かって左側(西斜面)が急で,右側(東斜面)がなだらかな左右非対称の姿がひときわ目につく。山頂にある火口からテフラ(火山灰)や溶岩を次々に噴出して成長してきた富士山は,左右対称の山容を取り易い。富士山が非対称になった原因は何だろうか。富士山を作った噴火の秘密に迫ってみよう。
 
 富士山周辺の地形図で,富士山を取り囲む海抜1000mの等高線を結んでみると,北西と南東方向に突き出ていることがわかる。この図に,富士山の山腹に70以上もある寄生火山の分布を書き込んでみると,山頂の火口を中心にして,北西〜南東方向に集中している事が良く分かる。この北西〜南東の方向は「富士の弱線」と呼ばれ,富士山の地下にあるマグマが上昇しやすい地下の裂け目が存在していると言われている。1707年(宝永 4年)に噴火した最大の寄生火山である「宝永山」もこの方向にある。これらの事を考え合わせると,富士山は,北東や南西方向に比べ,北西と南東方向により多くのテフラや溶岩やを流出させ,長いなだらかな斜面を持つため,東麓や西麓から見る富士山が非対称になる理由は説明できる。

 しかし,この原因だけでは,富士山の北西と南東方向に位置する甲府盆地や伊豆半島から見る富士山が非対称であることは説明できない。富士山の西斜面が急傾斜で,東斜面が緩傾斜になっている最大の原因は,上空を吹く風だと言われている。日本の上空には,偏西風と呼ばれる強い西風(西から東に向かって吹く風)が四季を問わず吹いている。そのため,富士山が噴出した膨大な量のテフラの大部分はこの風に乗って流され,風下にあたる富士山の東側に堆積し,関東ロームと呼ばれる厚い火山灰層を作っている。これに対し,風上にあたる甲府盆地には富士山のテフラはまったく見られない。当然,富士山の西側の斜面にも山頂火口が噴出したテフラが多量に堆積したが,東側の斜面には余り堆積しなかった。火口近くに堆積したテフラは粒が大きく,透水性(水の通し易さ)も高いため,富士山に降った雨や雪融け水の大部分が西側の斜面では厚いテフラの層を透過して地下に浸透してしまうのに対し,東側の斜面では直接岩肌を削って流れてしまう。したがって,厚いテフラの層で覆われて緩傾斜になっている西側斜面が変化しないのに対して,テフラの層がほとんど無く急斜面になっている東側は,浸蝕されてますます急傾斜になっていく。

 このような要因が重なって,甲府盆地から見える富士山の山頂付近も,向かって左側の東斜面に比べ右側にあたる西斜面が急な非対称になっている。この傾向は,より山麓まで見える場所にいく程顕著で,甲府盆地でも白根や竜王に行くともっと良く分かる。一年中で最も視界の良いこの季節,一度じっくり富士山を見つめて,山頂から巨大な火柱が上がる姿を想像してみるのも夢があっていいなぁ〜。
ザゼンソウ (座禅草)  Symplocarps foetidus [さといも科]
 ここ数年,3月中旬になると塩山の奥,下竹森にあるザゼンソウの群落に会いにいっている。
 道路から少し入った山の雑木林の中,小川が作り出した湿地のあちこちに赤褐色の苞に包まれ,黄色い玉型の花をたくさん付けた花穂が出ている。
 ザゼンソウと言う名前は,苞に包まれた姿が法衣をかぶって座禅するお坊さんに似ているところからついた。ここのザゼンソウは分布の南限にあたるもので,大切に守っていきたい。

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