静かな時限爆弾
   アスベスト汚染を探る
                       奇跡の鉱物「石綿」の二面性を追って

 建物の内部に断熱,防火,防音等の目的で吹き付けられているアスベスト(石綿)が,肺ガンをはじめとしてさまざまな肺の病気を引き起こすことが明らかになってきた。従来「奇跡の鉱物」と呼ばれてもてはやされてきたアスベストが,なぜ「静かな時限爆弾」などと呼ばれるようになっていったのだろうか。アスベスを例に,私達の身の回りで数多く利用されているさまざまな物質が必ず持っている二面性について考えてみよう。
 アスベスト(石綿)は,引っ張りに対してはピアノ線よりも強く。また,燃えない,高温でも変化しない等,熱に対しても強いと言うすぐれた性質を持った鉱物で,蛇紋岩に属しているクリソタイルと角閃石に属するアモサイトやクロシドライト等のことをさしている。これらは,いずれも極めて細い繊維状の鉱物で,ほぐして糸や布に織ることも出来,ほぐしたままで丸めてやると「石綿」の名前の通り「綿」のような性質をも示す。人々が,アスベストの持っているこの様な優れた性質に気が付いて利用し始めたのは非常に古く,古代エジプトでは,BC2500年頃すでに王のミイラを包む布に利用し,BC4〜5世紀頃のギリシャでは,神殿のランプの芯に使った記録も残っている。そして,人々が夢見た「燃えない布」を作ることの出来る「奇跡の鉱物」として現在も私達の身の回りで建築材を始めとして三千種以上の物に使われている。    

 ところが,第二次世界大戦後,急激な産業の発展にともなって,アスベストの生産と消費量は飛躍的に増加し,それと伴に,各国の石綿鉱山労働者や石綿工場の労働者の間に肺ガンが多発するようになり,アスベストに疑いがかけられた。その後の研究の結果,アスベストは,肺ガンを始め,発病すると1年以内に死亡すると言う悪性中皮腫(しゅ)等のガンをも引き起こす事が明らかになった。アスベストは,太さ0.02〜0.2ミクロンほどの超微微細な繊維となって空気中を漂い,呼吸とともに肺に入り込んで肺につきささり,20〜40年後に肺ガンなどを多発させると言うメカニズムも明らかになった。アスベストが静かな時限爆弾などと呼ばれるようになったのはこのためだ。
 アスベストによる発ガンの危険性は,年齢が低いほど大きいことなどから,この問題がいちはやく指摘されたアメリカでは,学校でのアスベスト粉塵の検査が義務づけられ,危険箇所の改善が進められているが,日本では依然として多くのアスベストが使われ続け,その実態すら明らかになっていないのが実情だ。…アスベストに限らず,ヒトは自分達の生活を便利にすると言う目的でさまざまな化学物質を捜し出したり,作り出すなどして使っている。しかし,これらの化学物質が地球の環境やそこに住む生き物達にどのような影響を与えるのかは,ほとんど判っていないのが実情だ。目先の便利さのみを追い求めるのではなく,化学物質の持っている二面性を常に頭にいれて長い目で物を見る事の出来る力を養って欲しい。
コヒルガオ (小昼顔) Calystegia hederacea [ひるがお科]
 校門の右側にある自転車置き場裏の植え込みにからみついて淡紅色をしたロート状の花を咲かせている株をいくつもみつけた。朝方咲く「朝顔」に対して,日中咲いているところから「昼顔」の名がつけられた。古い時代に渡来した帰化植物で在来種のヒルガオに比べて,花が小さく,葉が矛形をしているなどの特徴がある。

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