「カッコ−」の鳴き声を聞きましたか
     郭公のサバイバルなるか
                           …カッコウ・托卵の謎を追って

 最近,授業中に窓の外から「カッコー,カッコー」と良く通る声が聞こえてくる。あ〜今年もカッコウの鳴く季節になったかと思いながら,声のするほうを探すと,避雷針やテレビのアンテナ,高架水槽の上など,大変に良く目立つ場所で尾を高く上げながら鳴いている姿を見つけることが出来る。
 
 カッコウは冬の間を南のフィリピンやマレー半島辺りで過ごし,4〜5月頃に日本に渡ってきて繁殖し,9〜10月に再び南方に戻っていく夏鳥で,古くから「カッコウの声を聞いたら梅を漬けはじめなさい」と言う通り,5月下旬から6月上旬には繁殖を開始し,雄は周囲が見渡せる枝先などに止まって「自分の縄張り」を宣言するため,さえずりを耳にする機会も増える。ところで,このカッコウ,普通の鳥達のように巣を作って産卵し,自分で卵を温めてかえして,かいがいしくヒナの世話をすると言った子育てをせずに,他の鳥の巣に産卵し,他の鳥に自分の卵をかえさせてヒナの世話もさせてしまう「托卵(たくらん)」と言う,一風変ったズルイとも思える繁殖方法を取っている。
 従来,カッコウの托卵先はオオヨシキリやモズが多かったが,カッコウが平野部へと進出するのに伴って,新たにオナガにも托卵するようになった。今,この新しい托卵先のオナガとの間にお互いの種の存続をかけたホットな戦いが展開されている。オナガとの戦いを調べながら,ずいぶん手抜きの子育てのように見える托卵のメカニズムにも迫ってみた。
 
 カッコウは自分自身で子育てが出来ない(きっと,ず〜と昔は出来たのだろうが,何時か,その習慣を忘れてしまった)。繁殖時期を迎えたカッコウの雌は,狙いを定めた托卵先の巣のまわりで,巣の主が産卵するのをじっと待ち,産卵直後に親が巣を空けるごくわずかな時間を狙って巣の卵を1つ外に放り出し,自分の卵を1つ生み落として,急いで逃げ去ってしまう。カッコウの卵は托卵先の仮親の卵に似ているため,仮親は自分の卵と区別がつかず,自分の卵と一緒に温める。カッコウの卵は仮親の卵より早くふ化する。ふ化したばかりのカッコウのヒナは,巣の中にまだ残っている仮親の卵を巣の外に放り出したり,仮親のヒナがふ化している時にはヒナを攻撃して殺し,巣の外に捨ててしまう。このようにして,カッコウのヒナは仮親の巣を独占し,仮親から昆虫などのエサを貰ってどんどん大きくなっていく。
 ふ化して10日もたつと,ヒナは仮親よりも大きくなり,小さな親が自分とはずいぶんと姿の違う大きなカッコウのヒナにエサを与えると言った光景が展開される。これを見ると,仮親は余程バカだとも思えるが,仮親はカッコウのヒナがエサをねだって自分に向かって開けた口の中の赤い色を見ると,疑いなくエサを与えると言う本能のプログラムが自動的に働いてしまうらしい。しかし,同じ種類ばかりを托卵先に選んでいると次第に相手に警戒され,成功率が下がってしまう。

 そこで,ごく最近カッコウが新しい托卵先として狙いをつけたのがオナガだった。オナガはカッコウにとっては托卵された経験のないウブな格好の相手と写ったらしく,長野市郊外の千曲川の河原での調査では,1984年にはオナガの巣の3割弱が托卵されていたに過ぎなかったものが,1989年には半数以上にも達している。同じ地域のオオヨシキリやモズは1〜2割しか托卵されていないことに比べると,非常に狙い易かった事が分かる。しかし,一方的に托卵されていたオナガも,3年ほど前から巣に近づくカッコウを雄が集団で追っ払ったり,生み落とされたカッコウの卵を見分けて巣の外に捨ててしまったり,巣を放棄してしまう等の対抗手段を講じ始め,現在では7割以上のオナガが対抗手段を講ずるまでになっている。
 一見大変楽そうに見えるカッコウの子育ても,その裏には果てしない知恵比べの厳しい現実が隠されている。窓の外から聞こえてくるカッコーの声を聞きながら,こんなカッコウの生態に思いを巡らしてみるのも面白い。
ムシトリナデシコ (虫捕り撫子)  Silene Armeria L [なでしこ科]
 朝の校門指導の帰り道,整頓状況の良くない自転車を整理しておこうと芸術棟の下に行ってみると,アスファルトの端に出来た小さい裂け目から懸命に茎を伸ばし先端に濃いピンク色の小さな花を沢山つけているこの草を見つけた。
 ムシトリナデシコは,釜無川の河原や民家の庭などでも良くみかけるヨーロッパ原産の帰化植物。葉は対性で柄はなく茎を抱くように上部の枝の付け根に粘液を分泌する部分があるので,ムシトリと言う名がついた。

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